「ほわぁ……! ほら見てくださいこれ(↑溜め)。麺がつるつるで、(ズズゥ)しこしこですよ~。ね? ご主人」
「お、おう」
麺の感触を文体、すなわち言語で表現する擬音である「つるつる」と「しこしこ」。
「つるつる」は僕にも理解できる。というか「だるんだるん」とか「ざらざら」とか表現してもヤバさしか伝わらない。最も大衆的で麺の舌触りの良さを表現したのが「つるつる」であると、辞書を引かなくても容易に想像はできる。
で、「しこしこ」って何なの?
しこ‐しこ:[副](スル)
1 食べ物をかんだときの、弾力に富んで、歯ごたえがあるさま。「―(と)した歯触り」
2 持続的に地味な活動をするさま。「今でも小人数で読書会を―(と)続けている」
提供元:「デジタル大辞泉」
……うん。「歯ごたえ」を表現するのはなんとなく理解していた。でも僕が知りたいのは語源と云うのだろうか、何故「しこしこ」が選ばれたのか。その意味から察するに、持続的に噛む愉しみがある固めの麺が値すると思える。
つまり、固いのがお好きと……。
太めで、もっちりとした、中に芯が通り、それを「しこしこ」と──
麺を対象とする「おいしさの基準」としては一般的だ。「ご主人! この麺、ざらざらでごわごわですね~!」とかうどんで言われたら、ソフト麺を袋から出してそのまま食べる以下の表現だろう。
そもそも麺の表現に対する「しこしこ」は擬音ではないと先に判明した。「しこしこ」自体が歯ごたえを表現する一つの意味であり言葉だろう。
僕は感心──いや、改心した。決して麺を表現する「しこしこ」はR18的な意味ではなかったと……!
『食戟のソーマ』で田所ちゃんがうどんを食べながら「あ…この麺…、すごく…いい…♡」と言いながら場面はソフトエロシーンに転換! 麺を噛む擬音が「しこっ… しこっ…♡」くらいまでは想像した。
食に対する感想って回りくどくて面倒な表現が多い。「美味しい」の妥当すぎてつまらないコメントは、作り手側からすれば単純でありがたい言葉なんだろうな。