「お盆に殺生はしちゃいけないよ……」
「お盆に水辺に近づくと死者に引きずりこまれるよ……」
──とは言うが、釣り人は普段の休日よりも明らかに多かった。本当に殺生がだめならご飯も食べれないレベルだし、水辺での事故は季節を問わない。
まだ暗い午前3時に家を出て、吉田港に着いたのは4時30分頃。夜が白けはじめる頃である。2時間くらい瞑想をしてから、まだ気温が上がらないうちに移動しようと動きはじめた。
吉田港の東側は過去、防潮堤は閉まっておらずに寸前まで車で行けたのだが、大震災前後辺りから防潮堤は常に閉まっているようにはなっていた。堤防に辿り着くまでには1km近く歩かねばならなかった。
──のだが、現在護岸工事のためにバリケードが強化されている。簡単に乗り越えれるし、工事もやってないのだが、どうにも行きづらい雰囲気を醸し出していたので、仕方なく浜から歩いて行こうと思った。これが地獄のはじまりである。
御前崎より東側の浜は砂利が目立つ所が多い。ここもそれに当たるのだが、思った以上に足を取られる。歩きやすい波打ち際には釣り人がひしめいている。普段より少し氷を追加したクーラーはいつもより重く肩にベルトが食い込む。おまけに日が昇ったばかりなのにクソ暑い……。東提に着いた頃には満身創痍になっていた。
堤防の内側だろうが外側だろうが、投げなら大抵イシモチな場所。投げでキスでも狙おうかと考えていたけれど、青蛇虫を買い忘れていたので外側に向けてコマセ撒きつつウキフカセで攻める。テトラの際はうねりで砂が巻き上がっている。魚が居つくか怪しいとは思うが仕方がない。少しでも帰りの重量を減らすためにコマセをばらまく。
魚が集まっている気配など微塵も感じられないが、次第にエサは取られるようになった。ウキに大して反応がないってことは膨らむ奴ぽいな。小型のグレ針に変えたらハリスに噛んだ跡が残ったので、エサ取りはフグで確定。アサリをエサに胴突を入れるとフグがフィーバーしたので諦める。
堤防の内側を覗くと、40cm以上のクロダイが結構泳いでいる。落とし込みをしている人はいるが、釣れている気配はない。堤防際をオキアミでひと通り攻めてみるも、過去最大クラスのフグが釣れた程度。ショウサイフグかコモンフグかな。重いから期待したのにフグだった時のガッカリ感はぱない。
吉田港は昼前に見切りをつけ、隣ともいえる大井川港へと移動をする。この前行った通称:利右衛門で場所が空いていればそこでやるし、開いてなかったら小川港へ行くつもりだった。見事に前回探れなかった場所が空いていたので利右衛門に落ち着くことにした。
コマセを撒いて目に見える寄ってきた魚は魚雷サイズのボラとサヨリ。軽く80cmはありそうな魚雷が大群となってうろうろしてやがる。もしかかると竿がへし折られかねない。
ウキはちょこちょこ沈んで楽しめるが、釣れるのは何故かヒイラギ。ウキがスポーンと潜るけど乗らないのは豆アジかな。前回トリック仕掛けで昼過ぎから釣れていたし。
魚雷に食われるのが怖かったので、挿し餌と同調はさせていなかったけれど、飽きてきたので同調させて魚雷で竿の耐久テストをやろうと試みる。数回オキアミを咥えるも、すぐにペッと吐き出しやがる。なかなかうまくいかないな。サヨリ相手には流石にエサが大きすぎるし、小さい針も持ってきていない。コマセを撒ききった所で終了。
途中でやけに腿がヒリヒリするなぁと思っていたら……
konozama.
油断しすぎていた。普段の釣りより日光の下にいる時間が長かったし、日焼け止めを塗っていた所もヒリヒリする。これは間違いなく火傷のレベル。
帰って濡れタオルを足に巻いてなんともアホっぽい姿で過ごしています……。