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2011年12月27日火曜日

暗算vs筆算 そろばんを使った3次元計算と紙に書く筆算での思考の違いを考えてみた

東大医学部現役合格生の開発した「ゴースト暗算」がものすごい - Togetter

 文中にも書かれていますが、そろばん経験者ですと当然な仕組みを説明しています。私達は盤面をイメージして、映像の中でそれを弾く。それを公式へと昇華させ解りやすくした彼の功績は素晴らしいです。映像を文字で説明するのは難しいことです。
 しかし、そろばん経験者だからと言って、彼の功績を鼻で笑うことは許されません。自分とは違う思考を想像し、彼らは暗算をどう行っているのだろう、そろばん経験者とは何が違うのか、そう考えたくなるものです。

 ちなみに私は暗算3級くらいの平民です。これより上はマジでキ○ガイレベルの猛者しかいません。暗算では大抵、架空の盤面を弾くんですが。これが1級以上になると、指が20本に見えるくらいです(誇大)。

 この記事を見て気になるのは、そろばん未経験者の暗算は、どんなイメージで行っているのかな、という点です。例えば1500円の商品があり、これに30%割り引きのシールが貼られています。割り引いた後の値段はおいくらになるでしょうか。

 1500×0.3の計算を、メモを取らず、どう脳内で計算するのだろう…。セオリー通りにいくなら、まずは小数点を無くし、150×3に直す。

   150
×    3
--------

とメモに書き、(3×0),(3×5),(3×1)をそれぞれ乗算する。計算式にすると、この表記のままでは矛盾しますが、これを正しく組み立てることが出来るのがそろばんの暗算の概念です。
 解りにくいとは思いますが、私の脳内で行っている計算を文字で例えると、「150の上に、左から3をポンポンと叩くと、上から降った数字が重なり、答えが現れてくる」という感じ。
で、これを2次元上、紙の上でしか解いてない人は、150×3を平面に書き、こう考えていると思うんです。

3(100+50+0)=

 正直こちらの方が理解しやすいし、されやすい。3をそれぞれに乗算した後でも、括弧の中を先に計算した場合でも、答えは同一になります。どちらかと言うと、そろばん式の方がパズルっぽいですね。それは、そろばんの盤面上で表現される数字こそが、パズルみたいな物であるからだと思います。
 これは基礎で学ぶ盤上の数値の動かし方を説明する必要がありますが、先の例でもニュアンスは判ると思うので省きます。

 2桁同士やそれ以上の計算でも、分解して考えれば簡単ですし、算数の計算方法でもそう習っているはずです。

    12
× 24
---------

 そろばんの考え方ですと、(12×4),(12×2)を行い、48と24を組み立てます。(12×2)は10の桁で、1の桁よりずれているので工夫する必要があります。

こう考えるとしっくりくると思います。
48+240=288

これを紙の上での筆算に置き換えれば、
(12×4)+(120×2)=

 数学で考えれば、更に美しく整理される式になると思いますが、計算の法則自体はどちらも原則にしたがっているので、違うのは数値の組み立て方の解釈の違いですね。
 どちらかと言うと、私はそろばんでの計算より、猥雑な計算式を、解りやすく組み立ててから計算する方がすごいと思う。例えば、1192+1492という式で考えます。

   1192
+ 1492
-----------

こうすると難しく感じます。というより面倒ですね。
ならば整理しようかという自由度があるのが筆算の世界。どちらにも8を足して、1200と1500として計算、2700から16を引くと考えると、暗算もし易くなります。
そろばんは、表示されている数値から計算をするので、こういう”整理”しようとする発想が生まれにくい。そろばんを弾く方が速いと感じるわけですから、脳内で盤をイメージするほうが優先されるわけです。
 まあよく、10桁暗算を速く計算するそろばん経験者がいますが、こういう人は分解して組み立てるまでが速いのでしょうね。慣れもあるでしょうけど。
 自分の方法よりも、更に簡素で解りやすく速い方法だって世には存在するはずです。そうして進化してきた世界ですし、これに対してはこれしか出来ません(キリッ)という思考は投げ捨てないと、進化は途絶えてしまうと思います。
 
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