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2015年7月27日月曜日

カーボンバイブの利点と欠点

話題にあがることは多いけど、素材がもたらす利点を語る人がいないので。


 

ぶっちゃけ『釣れればいい』という考えなら関係ない話です。その点においては、鉄板とカーボンを比べても遜色がないはず。

 

素材の利点

この素材でルアーが出ることを知って、最初に思ったことは「鉄板の弱点が消えた」ってところ。

鉄板の弱点は素材が『曲がってしまう』点。カーボンは曲がるっていうより『しなる』。釣り竿でも使用されている素材なので、身近でわかりやすいんじゃないかと。

このタイプは薄くすると波動が強くなり誘引力が増すが、曲がりやすくなり耐久性が失われる。かといって厚くすれば耐久性は上がるが、しならないために波動が弱くなるしABS樹脂製のレンジバイブとの相違点がなくなったりする。

鉄板バイブは泳いでる時に多少なりとも板がしなっているわけですが、金属製でしならせるには大きさに制限がかかってしまう。鉄板バイブは数あれど、大きさ(長さ)にそれほど違いがないのは素材とコストによる限界点ともいえる。

動画で泳いでる姿を見ればわかるが、この手のタイプにしては板部分がかなりしなっている。これにより、魚が泳ぐ姿にかなり近くなったといっても過言ではない。7cm以下でウォブンロールのヘビーシンキングミノーと思えば、使用用途は多大に広がると思う。

まあ金属に比べ薄くてもひん曲がることがなくなっただけ、高耐久であるとはいえます。

 

ところが、個人的に思う利点はそのくらいだったりする。

それで充分ともいえなくもないが、素材ならではの弱点もある。

 

考えられる欠点

カーボン(炭素繊維強化プラスチック:CFRP)は衝撃には強いが繊維が切れるようなキズにはめっぽう弱い。

釣具で同例を挙げるならPEライン。あれも繊維の集合体なので破断耐性には優れているけれど、根ズレなどの摩擦に弱く、集合体のうち1本でも切れるとなし崩し的に破断していってしまう。

おおげさにいえば、タチウオのような歯が鋭い相手だとワームのようにずたぼろにされる可能性があるってとこ。これが金属であれば削るなり叩くなりして直せるが、カーボンではそれができない。

メインの対象魚であるスズキ(シーバス)は牙がないのでこの点はクリアできる。問題は牙がある魚種で、ルアーに歯型がつくような相手には分が悪い。

釣り竿もそうだけど、一度キズが入るとそこからメキメキと折れていくので、この点では金属製の方が耐久性があることになる。

 

carbon_vib_3

バイブ系は総じてスプリットリングをつけるのがメンドイ。

これはカーボン素材の加工部にハトメをすることにより、接続するためのアイにしてはありますが、ここにスプリットリングを入れようとすれば本体にキズが入りやすい。

リアは当たる部分を少なくしてありますが、メインはスナップ使用前提の深さなので、ここにスプリットリングを付けるのは自傷行為ともとれる。

鉄板バイブは穴を小型にして複数のアイを作り、引き抵抗に多様性を持たせているものが多い。それにたいして、これは加工時にカーボン板へ同一の穴を開けているため、単一アクションとなっている。

まあコスト削減と考えれば仕方がない。……カーボン素材でこれを作ること自体わりとムダというか、大量生産するという点においては大抵の企業が難色を示すと思う。

「どうせ消耗品だし、金属製で安く多く売ればよくね?」

「それな」

やけに推してる「イワシのキラメキ」だけど、板部の半分から後ろがしなることにより反射光がそのくらいになるからだろう。

──ってのを指しているのだろうけど、そもそもイワシが逃げてもこんなにバタバタ泳がないわけで、その点においてはワームのスイムベイトが最も近いといっていい。

 

リール秒速半回転くらいで同一レンジをひけるならば最強になりうるかも。欲をいえば5cmで15gくらいがあってもいいんじゃないかと感じた。そのコンセプトならナレージ50があるしなぁ──。

とにかく、革新的な物であることに違いはないけど、尖っていない感じがする。

板部分が金属より軽くできるのなら、オモリ部分を重くしてフロントヘビーの恩恵により沈降速度を速くして手返しを良くするとか、15g以下でバランスよくしてスローからファスト・ミドルからシャローに対応させるとか、まだ考えれたと思う。

60サイズで15gと30gで良かったんじゃねぇかなと。

 

現状では重量と大きさが現存の鉄板バイブと遜色ないせいで、自分にとっては「これなら鉄板でよくね?」と感じてしまう。

なので、「すごそうに聞こえるけど別にそれほどでもないよね☆」というのが率直な感想だったりする。

 
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