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2015年7月14日火曜日

スピニングとベイトの利点と欠点【リール小咄】

「この釣りにはこれ!これしかないですよ!!」と煽られることが多いと思いますが、『平均』を取るならどちらでもいいんです、という話。

え、それダメじゃね?

 

 


この前、隣に颯爽と入ってきた人が2投で2回高切れしていて、笑ってあげるべきか悲しんであげるべきか迷いましたが、なんでだろうと見るとベイトリールでサビキを投げようとしていた、ってことがありました。

下に落とすだけなら問題ないが、スピニングのつもりで投げようとするとベイトの構造上、バックラッシュするか切れるかのどちらかになりやすい。仕掛けが軽ければいいんだけど、オモリの5号でも1oz近くあるし10号になると40g近くになります。

まあ下手すればロッドが先に折れるってのもあるので、高切れで済むのはある意味ラッキーともいえないこともない。そのくらいの重さになるとスピニングの方が投げるのに有利なのですが、それは一体どうしてなんだぜ?という『キャスト』にまつわるまとめがこちらになります。

※一応釣り方で言い換えているので、ごっちゃになっても困るから先にいうと、「ベイト=両軸=タイコ」で構造上はどれも同じ物です。

 

  • スピニングリールの利点と欠点

糸抜けが抜群に良いので飛距離が最も出るのが利点…………それだけ? うん、ぶっちゃけこのくらい。

軽いルアーを飛ばすのに向いているのは糸抜けが良いからであって、ドラグの設定が簡単でおまけに強力とかもあります。初心者入門にはよく薦められますが、慣れが必要とされるので簡単ではないです。

じゃあ構造上の欠点はというと、ギアが小さくなりやすいのでベイトに比べ巻取りパワーが少ない。糸にねじれが発生しやすいので、太い糸を扱うとトラブルが起きやすいってのと、太い糸を多く巻こうとするとスプール径が大きくなり、リール自体が大きくなりすぎてロッドとのバランスが崩れやすいってくらい。

端的にいうと「より遠くへ飛ばす」ことはできるが「大物をねじ伏せる」のは難しいって感じ。とにかく「飛ばす」ことに特化したリールなのです。

 

  • ベイトリールの利点と欠点

利点としては(設定にもよるが)ライントラブルが少ない。メインギアがスピニングより大きく作れるし力の伝導効率も良いので巻取りパワーがあるってところ。他にもスピニングより利点は多い。

適当にロッドを振った時にクラッチを切れば飛ぶので片手でも操作しやすく、狭い場所では取り回しが良く、キャストフォームを学ぶためにはこちらの方が向いています。ベイトリールの優れた所は、一定の力でキャストしても本体側の内蔵ブレーキで飛距離を調節できる所。最近は主にダイアル式で使用状況により簡単に変更できるようになっています。

目立った欠点はないのですが、糸を放出するためにスプールを回転させる力が必要になるため、軽い仕掛けを投げるのには向いていません。またブレーキ調節を知らないとただの「思うように飛ばせないリール」に成り下がるので、ある程度の知識を必要とします。

ベイトリールっていうと「フィネス(自然)」とよく耳にするかと思いますが、これは基本的にノーシンカーにワームのみという数グラムの仕掛けであり、これをキャストするためには内蔵スプールを軽量化する必要があります。スピニングなら問題なくキャストはできるのですがバックラッシュしやすくはなります。

この理由は後述で。

 

  • アキュラシーキャスト(迫真)

投げたい所へ投げ入れる技術ってのが「アキュラシー(精度)」と呼ばれているもの。正直道具うんぬんより、真っ直ぐ投げるには人間自身の精度も問われる。どちらのリールがより優れているのか──っていうのは水掛け論的に結論は出ない。

さくっといってしまうとこんな感じ。

  • 人間の腕を問われるのがスピニング。
  • 道具の性能を問われるのがベイト。

飛距離を調節するには力を抑制するか、もしくはブレーキを掛けるかのどちらかになります。ベイトではリールにブレーキ調節があるのですが、それでも足りない場合には親指を使いスプールを抑えます。これをサミングといいます。対してスピニングでは持ち手の人差し指か中指を使ってスプールから出る糸を抑えてブレーキを掛ける同様の方法をフェザーリングといいます(ややこしい)。

自分でブレーキを掛けるのは親指をちょいと動かすだけでできるからベイトが楽なわけで、スピニングではリール本体(スプール)が大きくなると持ち手では届かなくなるし、こっちの方が慣れを必要とするため片手でやるのは難しいです。

アキュラシーキャストという視点からすれば、ベイトはあらかじめルアーに設定された飛距離から力とブレーキにより減算してそこへ投げる感じ。スピニングは50%の力で投げた着水点から力とブレーキによる増減で投げ入れる位置を調節する感じになる。なので「規則正しく投げる精度」という理論ではベイトリールの方に分があります。

 

  • ジギングにベイトを使うのは何故?

ベイトがライントラブルになりにくい要因として、スプールから直線上に糸が放出されるという点があります。

スピニングは斜めに放出されるためねじれが発生しやすく、ユルユルに巻くと糸がドバッと出てバックラュシュの要因になります。

ジギングは上下に動かす釣り方なので、スピニングだと負荷が抜けやすく、糸をふかふかに巻きがちになりトラブルの原因になりえます。対してベイト・両軸ではレベルワインダーのおかげでほぼ一定に巻いてくれるし、糸ヨレも発生しにくいためこの釣りに向いているというわけです。

まあそれよりも、水深が深くなるにつれ必要とする糸も長くなるわけで、なるべく小型で糸巻き量の多い両軸タイプが重宝されているって感じでもあります。小型のリールを使えるのはタックルバランスも良くなり、真下に落とすような船上ではロッドに負荷が均一にかかるため、やりとりもしやすくなります。

 

  • どちらがより敏感か(感度)

魚信は糸を伝わり、ロッドを介して手元に伝わってきます。

ベイトリールは常に握りこむ形で持つので、リールから伝わる感度があり微細なアタリをとりやすいってのを聞きます。が、そもそも糸が最初に触れているのはロッドの先端ガイドなわけで、常にガイドの真ん中に糸が通るように巻いているのならリールに直接伝わるのでその限りじゃないですけれど、それだと感度うんぬんの話ではなくなります。

感度優先にするなら先端ガイドを細く、穂先を柔らかくすればいいわけで、リールでどうこう変わるのはもうプラシーボなんじゃねぇかなと疑うくらい。感度が最も変わると実感できるのは1にライン2にロッドです。

でもゆっくり巻いて水底にある物を知る感度は、触れている箇所が多いベイトリールの方が優れているのは確かです。

 

  • どっちを使えばいい?

対象魚ナニガシ~は抜きにして、あらゆる釣りで使いたい1個であればスピニング、場所によって数個欲しくなるのがベイトかと思います。

スピニングの利点として、スプール径を変えることで簡単に糸巻き量を替えることができるので、リール1個スプール数個でいくらか使い分けが可能。ベイトにも替えスプールはありますが、カバーを外したりと分解するのに手間がかかるので、何個か持つ…というかタックルごと数ある方が便利。

正しいキャストフォームを学ぶのならベイトが向いている。ある程度一定の力で投げるのが必要とされるので、ロッドの反発を利用した体にエコなキャストを学ぶのに向いています。

スピニングは全力でぶん投げても糸抜けの良さでカバーしてくれるのですが、ベイトをスピニング感覚で投げると冒頭にあったように、高切れやバックラッシュを頻発させてしまいます。重い仕掛けを投げるスイングスピードが早過ぎるとスプールの回転が間に合わず切れるし、遅すぎると今度はスプールが空転してしまい糸がモジャっとなってしまう。

キャストの面でざっくりいうと、

  • (より遠くへ)投げるのに向いているのがスピニング。
  • (狙った位置へ)落とすのに向いているのがベイト。

なので陸からの釣りではスピニングが有利であり、船上もしくは足元を狙う釣りではベイトが有利になります。

 

ただ軽い仕掛けをどのようにして扱うのかっていう場合には、どちらかにほぼ限定されます。

チヌ・グレのウキフカセなど、軽い仕掛けを自由に流したい場合にはスピニングが有利です。ベイトを使うと糸をいちいち引っ張って出さないといけないので、効率が悪くなります。堤防のチヌ落とし込みや前打ちなど、なるべく糸ふけを無くすのと感度を優先したいとなるとタイコ型(両軸)が有利に働きます。

遠投カゴ釣りに両軸が選ばれているのは、対象魚にパワーがある相手が多く力でねじ伏せるためもあるし、レベルワインダーが無い物であればスピニングより飛距離が落ちる影響もそんなに無いです。

両軸タイプはリールを上にしてもバランスがいいので、竿受けで安定しやすいってのもあるから、船上はもちろんのこと磯の定点釣りにも向いている。スピニングだと竿立てが必要で、これは大物相手だとひったくられるだけなので、こういう釣りには向いていません。

ことルアーに関するとどっちもどっちなんですよね。どちらかといえばエサ釣りの方が推奨リールが限定的になるのが顕著になります。

なので「より気持よく飛ばしたいのならスピニング」「より格好よく飛ばしたいのならベイト」って認識でもいいんじゃないかと思います(投げやり)。

 
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