Loading...
2015年6月30日火曜日

バラシマスター脱却法を考える~ヒラメ編【前編】

今回は用語をフィーチャーして意識を高くしないとロングディスカッションになるので、ろくろを回しながらトークする人をイメージしながらフェイバリットブルー。

tama

でもやっぱり長くなったので分割しました(2日分の更新ゲットォ)。


「バラした!」とはよく聞くけど、どんな過程でフックから外れたのかっていうのを説明できないと、後の対処法も考えることができないわけで同じことの繰り返しである。

人為的なのか、道具が悪いのか、魚のせいなのか、環境のせいなのか…?

色々考えられるけれど、一つ言えることは完璧にフッキングした魚はそうそう外れないってこと。そして道具も重要ではあるが、それを100%引き出すのはアングラー側であること。

今回はサーフで人気のヒラメさんを議題に進めてみます。

 

  • フックの構造を理解する

fuuu

シングルとトレブル(トリプル)でも各名称に違いはありません。

エサ釣りをやる人にはおなじみですが、対象魚によって捕食習性と口の形状は違うから、フックというものは魚種によって特化されるべきなんですよね。ルアーのトレブルなんかはほぼ全種同じ形なわけで、違いといったら大きさ・ゲイブ・スロートの角度くらいしか差がありません。

では何故ルアーにはトレブルフックを使うのかって話になると、生産するにあたってこの形がベスト(げふんげふん)──は置いといて、単純に考えてルアーのどこにどうやってアタックしてくるか予想がつかないから、針を多くしたほうが掛かりやすくなるんじゃね?って所です。

これが2,3本付いているルアーで、それが2本掛かると力の伝達効率がよくなりバレにくくなりますが、1本だけだとバレやすいのはゲイブがどうしても構造上狭くなってしまい、ベンドカーブが浅くなるため魚を抑えこむ力が弱くなるためです。

 

トレブルフックが何故バラしやすいかと更に突き詰めると、物理学の範疇に入って説明が面倒になるので、参考サイトをどうぞ。

バレるの科学【クラウドルアーズ】

なぜルアーはトレブルフックが多いのですか?【教えて!goo】

ざっくりいうとシングルに比べて力が分散しやすく、バーブまで貫通させるために3倍の力が必要になるわけで、あわせの際に2kg設定くらいのドラグが出るようだとそうそう硬い口を貫通しないわけです。

さらに簡素にいうとファイト中にルアーがガシャガシャ動く状態の方がバレやすい。メタルジグ・ジグヘッド・ヘビーシンキングなど、ルアー自体が重いと魚が暴れた時に外れやすくはなります。

フックが曲がるのは大抵かかりが浅く、針先が口に引っかかっている感じで強い力を与えられる状況が多いかと。掛けた魚の重さが耐力強度以上であればその限りではないですが、ゲイブまで貫通している場合にはそうそう曲がることはありません。あと口が小さく硬い魚(主にタイ系)は特にフックが曲がりやすい。

なのでトレブルフックは「ひっかける」ことには特化していますが、「貫通させる」ことは苦手であるといえるわけです。

ST46の#4ともなると、ベンドまでしっかり貫通しているとフックを外すのにも苦労した覚えがあると思います。そのくらい貫通させれば途中ポロリもそうそうなくなるはずですが、そうするためにはどうしたらいいかは次で。

 

  • ロッドの限界は見極めておくべき(あわせの重要性)

ルアーロッドの基礎知識

先調子と胴調子ではロッドに力がかかる箇所が微妙に違い、これもあわせで伝わる力に影響します。

自分はプラグを投げやすいので先調子を使っていますが、サーフルアーにおいては重めのルアーでもアクションのしやすさと、波がある場合に不意のショックを吸収しやすくロッドの弾性によって魚を寄せることに特化した胴調子が主流ではあります。

先調子でも構わないのですが、ずりあげするのに若干不利になります。理由はこの時に無理な角度になりやすく、折れやすい状況が生まれやすいから。

guuu2

最大限針に力を伝達するためにはどうしたらいいか…っていうと、バット(リールシートの上)まで曲げるのが重要です。「これ以上曲がらない」ってところからようやくフックまで力が伝わると思ってください。

ヒラメも平均サイズが1kg前後くらいですし、相手が軽いほど限界までロッドを曲げてあわせないと、フックに力が全然伝わっておらず、これが浅い掛かりの原因でもあります。でもバットを持ってあわせるとロッドバランスが崩れ折れやすくなるので注意。

 

特に水深3m程度の遠浅サーフの場合、アングラーと魚の位置に高低差がほぼないため、ロッドを立てるだけのあわせでは魚が上を向く程度しか動かないので、よほど鋭いフックを使っていない限り貫通しません。

guuu3

自分はサーフで魚が掛かった後、ロッドを煽りながら数歩下がるか、魚を引っ張る感じで数度追いあわせをしています。一度乗りさえすれば9割はあげれていると思います。

「(──バイトだ!)ッカァーン」て感じにスナップであわせるのは、まあ見た目カッコイイからTVとか魅せプレイ向けですけども、実の所、魚との高低差を考えていないと非常に力の伝達効率が悪いあわせです。粗悪なブランクスを使ったロッドだと、これだけで速攻折れることもあるので注意。

スタートダッシュが命の青物やシーバスなんかはこれでも向こうあわせで勝手にある程度刺さってくれますが、あまり引かないヒラメとなると、腕だけであわしただけではロッドが力を全て吸収してしまって掛かりが浅くなり、外れやすくなるわけです。

琉球STYLE BIG FIGHT編【オフレボNEXT SHIMANO TV】

ちなみに自分のあわせ方は高橋哲也さんを参考にしています。

大物になると一気に胃袋まで吸い込むので、マグロなど100kg近い相手では口まで引っぱり出さないと歯でラインが切られてしまうため、こういうあわせ方になります。マグロの一本釣り漁師は、胃袋から口にかかるまでの感触がわかるから、そこまで引っ張ってから引き揚げるっていうんだから職人ですね。

魚でもっともフックが外れにくい箇所は「カンヌキ」と呼ばれている口の横でして、自分の口でも試してもらえば分かる通り、口を開け閉めしても動かない箇所なので一定に力が伝わりやすい。特に口が硬い相手ではここにかけることが重要になります。

 

  • 捕食習性と口の形状からフックの行方を考える

まずこれを見てくれれば大体の説明が終わります。

ヒラメとマゴチは基本的に視界に入ったベイトを追いかけ捕食します。持続的な遊泳力はマゴチの方が優秀で、瞬発力はヒラメの方が上ですね。

「ヒラメ40コチ20」という用語があるように、捕食すると圧死させるように噛み付いてから、そこからバクバクと飲み込んでいく感じなので、どちらかといえばエサ釣りの方が難易度は高いです。ルアーでは何故バイト=魚が乗るのかっていうと、捕食する部分にフックが存在するため。ヒラメの口は案外小さいと思われがちですが、60cm台であれば12cmくらいのミノーは丸呑みするくらいです。

ところが映像を見てもわかるとおり、ベイトを丸呑みすることはほぼありません。なのでルアー自体を食べてくるってより、フックを食べに来ているって感覚。

guu4guuu5

歯型がルアーについたことがある人ならなんとなく察するかもですが、ルアーの大きさがどうであれ、まあ大体上記の画像部分くらいにしか付かないんですよ。んで歯型=ミスバイトだと思っています。

50cm以下のサイズですと、こんな感じでフックが口の内側にひっかかっているだけってことが多い気がします。フックが貫通するのも上顎か下顎が多く、バイトで歯型が付きにくいってことも実践からの経験であるので、これはもうほぼフックで口がつかえているんじゃないかと予測できます。

顎の力が強く獲物をしばらく離さないため、特有の「ズンッ」って重さのバイトが伝わりますが、しっかりフッキングしないと口をパッと離しただけで外れるのが「途中ポロリ」の要因の一つかと思います。まあ大きい魚ほどフッキングは自重と走りで勝手にしてくれるんですよ。

おまけに浅いバイトだとフックのポイントが当たる部分が最も硬い場所なわけで、いくら鋭かろうがコンクリにぶっ刺す気概であわせないと貫通しません。もちろん細い方が刺さりがいいのですが、不意の大物に対処するためには強度が不安要素となるので、ある程度の強度をもったフックは必要です。

ミノーだと口裏に掛かることが多いので、半分飲んでくれればバレにくいですが、ミスバイトがどうしても多くなります。その理由は先の画像のように、ルアーとフックのバランスが悪いと口を離しただけで外れるからです。

 

~後編につづく~

 
TOP